厚生労働省が推奨しているフッ化物配合洗口液について今回はご紹介します。
平成15年に厚生労働省が発表した「フッ化物洗口ガイドライン」に基づき、保育園や幼稚園や学校などでも使用が勧められています。
フッ化物配合洗口液の実施の現状については、2016年3月の調査では全国の約12,000施設で約127万人で実施されています。
目次
フッ素はミネラルの一種で私たちの身近にあるもの
フッ素は地球上の海の水、川の水、土の中などどこにでも含まれています。海中に住む魚介類や海草には2~10ppmのフッ素が含まれています。また乾燥したお茶の葉もフッ素を含みます。フッ素配合洗口液に含まれるフッ化物も規定の範囲内で正しく使用すれば安全なものです。
フッ素については詳しくはこちらをご覧ください。
フッ化物配合洗口液の3つの虫歯予防効果
1.酸に溶けにくい強い歯になる
フッ素が歯に作用すると、歯質はフルオロアパタイトという非常に安定した結晶構造を持つようになり、歯質は強化され酸に強いむし歯になりにくい歯になります。
2.再石灰化作用(修復作用)を促進
酸によって溶けた歯質が修復される現象を「再石灰化(さいせっかいか)」といいます。フッ素は主に、この再石灰化現象に関与しています。唾液中のカルシウムやリン酸を歯にくっつけてくれます。この作用により、初期のむし歯は、治ることがあります。
3.むし歯菌の働きを抑制
フッ素イオンには細菌の活動を抑制する作用があります。そのため、お口の中にフッ素が存在すると細菌が乳酸を産生するのを減少させます。フッ素はミュータンス菌の活動を抑え、むし歯の原因となる乳酸を作りにくくします。
お口全体に行き渡るように30秒を目安にうがいをする
歯磨きの後、5〜10mlの洗口液で全ての歯に行き渡るよう30秒ぶくぶくうがいします。就学前の幼児では5~7ml、小学生以上では10ml。洗口後30分間はうがいや飲食物を摂らないようにします。
長期間お口の中にとどまらせられる就寝前がオススメ!
就寝中は飲食せず、かつ唾液の分泌量が少ないので、長時間フッ化物がお口の中にとどまります。洗口液は、ハブラシの毛先が届きにくいところにも成分を行き渡らせる事ができるので、就寝前の歯磨きの仕上げとしてオススメです。
フッ化物配合洗口液は4歳ごろから始めて14歳ごろまで継続する事が大切
歯の萌出直後に効果が高いことから、永久歯が萌出した4歳ごろが始めどきです。ただし、洗口が確実にできることが前提です。基本的には、フッ化物洗口を禁止すべき疾患や体質はありませんが、気になる方はお気軽にご相談ください。
永久歯が生えそろうまで続けると高い予防効果が得られる
継続期間は長い程よく、永久歯が萌出した頃から永久歯が生えそろう頃まで続けると、高い予防効果が得られます。4歳ごろから開始して14歳ごろまで継続することが大切です。年齢はあくまでも目安なのでお子さまのお口の状態に合わせて使ってみてください。
フッ化物配合洗口液の安全性
1回分の洗口液を全て飲み込んでも急性中毒は起きない
むし歯予防のため、フッ化物洗口に利用されるフッ化物の濃度や量では、身体に影響がありません。就学前児(体重20kg)が1回分の洗口液を全量(7ml中のフッ化物量は1.6mg)を誤って飲んだとしても、急性中毒の心配はありません。
正しく使えば副作用の心配はない
保育園児の洗口後の口腔内残留率は約10%です。週5回場合約0.2mgのフッ化物が口腔内に残ります。この量はフッ化物の投与基準量の0.5mg/日(3〜6歳児)の半分以下で、お茶をコップ1〜1.5杯飲んだときに摂取するフッ化物の量に相当します。正しく実施されれば長期間洗口を行っても、副作用が起きる心配もありません。
当院では「ミラノール」を使用しています
当院では、ボトル販売と院内でのフッ素洗口を実施しております。ミラノール(顆粒タイプのフッ素洗口剤)を精製水で割りボトルで販売しております。ボトル液の濃度は約250ppmで毎日使用して頂きます。院内のフッ化物配合洗口液の濃度は約900ppmで週に一度(水曜日)来院し、洗口して頂きます。
お子さまから虫歯リスクの高い大人の方に推奨してメンテナンスまでの自宅での予防として使用しています。もしお子さまが歯みがき剤を飲み込んでしまって不安な場合は、フッ素はカルシウムと非常にくっつきやすい性質があるので牛乳を飲ませてあげるのがオススメです。
まとめ
「フッ化物配合洗口液」は、永久歯が萌出てきた4歳ごろから始めて永久歯が生え揃うまで長期的に続けることで、より効果を発揮すると言われています。ただし、甘いお菓子やジュースのダラダラ食べ飲みに注意をし、歯磨きの習慣がなければ予防効果を減らしてしまいます。
「フッ化物配合洗口液」は、歯磨きをしたうえでのあくまでもサポートの役割です。きちんと歯磨きが出来ていない場合は、まずは、正しい歯磨き習慣をつけていきましょう。正しいブラッシングの仕方などのわからない事があればいつでもご相談ください。
歯磨きの後の仕上げに「フッ化物配合洗口液」を取り入れてみてはいかがでしょうか^ ^?
記事監修 Dr.鳥居 健二
田治米歯科クリニック 八尾医院
院長 鳥居 健二