入れ歯のお手入れきちんとしてますか?

入れ歯とは、歯の無いところを補う取り外しタイプの人工の義歯です。歯を喪失した部分の修復方法にはいくつかありますが、その中でも入れ歯は保険で簡単に作れることもあり、根強い人気のある治療方法です。

お口の中は上下の歯が噛み合う事でバランスを保っているため、たとえ一本でも歯が喪失した状態のまま日常生活を過ごしていると、お口の中だけでなく全身にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。

入れ歯をしないと起こる事

●咀嚼能力が低下し、食べられるものが制限され、栄養状態や消化機能が悪くなる

● 残っている歯がある場合は、噛み合わせができずに歯が伸びてしまい、新しい入れ歯を作る時に作製が困難になる可能性がある

●噛む事で体のバランスを保っているため、体のバランスを保つことが難しくなり転倒のリスクが上がる

● 歯が抜けて時間が経つと歯肉が痩せるので更に頬がこけて見えたり顎がたるんで見えたりなど顔のバランスが崩れやすくなる

●歯と歯の隙間があいていると上手く発音できない場合や「サ行」音や「タ行」音など前歯が無ければ発音できない音声で発音(構音)障害が発生しやすい。

・・・などの影響が出てきてしまいます。

入れ歯の役割

①歯の喪失に伴う機能低下の回復

咀嚼(食べ物を噛みくだく)機能や発音の不明瞭化などを回復させます。

②審美性の回復

唇や頬をささえている歯が無くなると口元が落ち込んで顔が老け込んで見えます。入れ歯を装着した時の表情は入れ歯を装着していない時に比べ、とても健康的になります。

残っている歯と歯ぐきを守る

歯が抜けたまま放置しておくと残存歯が移動し、歯並びが悪くなります。また、残りの歯に負担がかかり、健康な歯まで早くダメになってしまいます。特に奥歯がなくなると顎関節の負担が大きくなり、顎関節症の原因にもなります。

このように、見た目だけでなく入れ歯には大切な役割があります。しかし、汚れのついた入れ歯を使用していると、様々な病気の原因になってしまいます。

入れ歯のお手入れをしないと起こる5つの悪影響

私たちの元々ある歯も清潔を保つために毎日歯磨きするように、入れ歯も清潔にしておく必要があります。入れ歯をお手入れしない、つまり不潔な状態になると以下のような状態を引き起こす恐れがあります。

1.口臭

入れ歯のピンクの部分はレジンと呼ばれるプラスチックでできています。プラスチック部分は汚れがつきやすく、口臭の原因になりやすいです。

2.虫歯や歯周病になるリスクが高まる

入れ歯には、全てを入れ歯にする「総入れ歯」と、部分的に入れ歯にする「部分入れ歯」があります。部分入れ歯は汚れが溜まりやすく、部分入れ歯に付着している虫歯菌や細菌が繁殖した結果、残存歯を虫歯や歯周病にしてしまうケースがあります。

3.誤嚥性肺炎

入れ歯をちゃんと洗わないと虫歯菌や細菌などが繁殖します。飲み込む力が弱くなり、食べ物を飲み込んだ際に、一緒にこれらの細菌を飲んでしまい細菌が肺に達してしまいます。この唾液中の細菌が気管支や肺に流れ込んで生じるのが、誤嚥性肺炎です。高齢者は熱が出にくく、肺炎にかかっていることが分かりにくいので注意が必要です。

4.口内炎

入れ歯の汚れが溜まってくると「義歯性口内炎」にもなりやすくなってしまいます。入れ歯の裏側に歯垢(プラーク)がつき、歯垢の中にカンジダという真菌が増殖して、口内炎を引き起こします。

5.入れ歯や口の中にカビが生える

入れ歯は湿度が常に100%の口腔内に装着し、細菌や真菌などが繁殖しやすい環境で機能しています。入れ歯の汚れを放置していると、そこに生えたカビがお口の粘膜にまでうつってしまうことがあります。

入れ歯のお手入れは非常に大切

入れ歯のお手入れを怠っていると、入れ歯にヌルヌルとしたものが付着していきます。このヌルヌルが身体に上記のような悪影響を及ぼしてしまうのでキレイに除去しておく必要があります。

入れ歯のヌルヌルの正体

ヌルヌルの正体は「デンチャープラーク」といいます。入れ歯に付着するプラーク(歯垢)で身体に悪影響を及ぼす悪い細菌のかたまりです。デンチャープラークは粘着性があるため、お水で流した程度では落ちにくく、入れ歯用ブラシ(義歯用ブラシ)を使って落とす必要があります。デンチャープラークをそのままにしていると歯石のような状態となり、ブラシや入れ歯洗浄剤などでは取れなくなってしまいます。口腔内を清潔に保つためには、よく磨き、ヌルヌルの正体であるデンチャープラークを取り除きましょう。

毎食後のお手入れのアドバイス

入れ歯は、流しに落として流れていく事を防ぐために、洗面器の上で入れ歯を外して流水下にて汚れを流します。普通の歯ブラシではなく入れ歯用ブラシ(義歯用ブラシ)を使用するとバネや歯と歯の間、内側のくぼみなどの汚れも落としやすいです。普通の歯ブラシが使えないことはありませんが、硬いブラシでゴシゴシ磨くと細かな傷がつき、細菌の繁殖しやすかったり、変色が起こりやすくなります。入れ歯用歯ブラシ(義歯用ブラシ)を使用して磨く事をオススメします。

入れ歯用歯ブラシ(義歯用ブラシ)

当院でお取り扱いをしている入れ歯用ブラシ(義歯用ブラシ)です。あらゆる義歯・ブラッシング方法に適合するように3種類のブラシの毛を採用しています。小さいブラシで細かい部分の汚れも除去しやすくオススメです。

長期間外しておくときは・・・

乾燥すると変形やひび割れの原因になりますので、水中保存をお勧めします。変形を防ぐために使用する水は60度以下にし、熱湯はやめましょう。その時に入れ歯洗浄剤などを使用すると、目にみえない細菌の繁殖を抑えることができますので使用をオススメします。入れ歯洗浄剤を使用した後は、流水下にて洗い流してから使用しましょう。

入れ歯洗浄剤 スーパースキット君

当院でお取り扱いをしている入れ歯洗浄剤です。長時間発泡で総入れ歯も部分入れ歯もきれいにしてくれます。 酵素・天然消臭成分配合で除菌力バツグンです!

入れ歯の洗浄に関するQ &A

洗浄剤を使っても汚れが落ちないのはなぜ?

あくまでも洗浄剤は補助的なものです。表面についたプラークは粘着性があり、義歯洗浄剤の発砲作用では取れません。薬剤に含まれる殺菌作用も表面のプラークを落とさない限り効果を発揮しません。入れ歯用歯ブラシなどを使い手作業で汚れを落としましょう。

歯磨き粉を使ってもいい?

市販の歯磨き粉には研磨剤が入っているものが多いため入れ歯には使用しないでください。入れ歯は通常の歯に比べて強度が弱いため、傷つきやすく細かい傷がついてしまいます。

ラバラックムースがオススメ

ラバラックムースは、抗菌効果の高い次亜塩素酸ナトリウムを3%配合した義歯洗浄剤です。ブラッシングを必要としないため入れ歯を傷つける心配がありません。使用方法は、容器に入れ歯を入れたらムースをかけて3〜5分置きます。流水下で20秒程度すすいだら完了です。防錆剤配合で部分入れ歯の金属も安心です。

入れ歯を入れたまま歯磨きをしてもいい?

通常の歯に比べて入れ歯は複雑な構造をしています。入れ歯と粘膜の間や、部分入れ歯の金具周囲のプラークは入れ歯を装着したままでは落とすことができません。入れ歯は必ず取り外して磨きましょう。

睡眠時は入れ歯を着用するべき?

実は、寝ているときに入れ歯をしたままの方が良いのか、外して寝るべきかどうかについては患者様の口腔内の状態によって変わります。お口の状態に合わせて着用しましょう。

まとめ

入れ歯は、歯を喪失してしまった方にとって健康的な生活を送るためにとても大切なものですが、メインテナンスも非常に大切です。

入れ歯を不潔にすると、お口の中の衛生環境まで悪くなってしまうため、常にきれいな状態にしておく必要があります。

お家でも入れ歯専用の義歯ブラシなどで磨き、入れ歯洗浄剤などを使って、キレイに保つようにしましょう。

使っているうちに痛みが出てきたり、歯石がついてしまったりすることもあるので、歯科医院で定期的に入れ歯の調整をするようにしましょう。

記事監修 Dr.鳥居 健二
田治米歯科クリニック 八尾医院
院長 鳥居 健二

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