歯周病菌がウイルス感染に影響?歯科医が教えるウイルスと歯周病の関係

歯周病とインフルエンザの関係性

※新型コロナウイルスに特化した予防データはまだありません。
インフルエンザで明らかになっているデータです。

歯周病菌によるインフルエンザ感染の仕組み

歯周病菌がインフルエンザの感染を手助け

一般的にウイルスが鼻や口に入っても鼻水や唾液で洗い流されるため発症しにくいといわれています。
しかし、免疫が落ちる糖尿病やノドの粘膜を守るタンパク質を破壊する歯周病は、ウイルスが侵入・増殖しやすいことが分かっています。つまり、歯周病はウイルス感染の手助けをしているということです。
研究データによると、健康な方がインフルエンザに感染するよりも歯周病の方が感染する方が早く発症することが明らかになっています。

歯周病菌が出す酵素や毒素がタンパク質を破壊

歯周病菌の細菌から出される「プロテアーゼ」という酵素が、ノドの粘膜(上気道粘膜)を保護するタンパク質を破壊することが明らかになっています。

破壊されたタンパク質からウイルスが侵入

ノドの粘膜(上気道粘膜)を保護するタンパク質が破壊されると、ウイルスはそこから侵入し、細胞に付着し、体内に入り込み感染してしまいます。
また、歯周病菌が出す酵素や毒素は、気道の粘膜にも炎症を起こさせ、感染を拡大させるのです。

歯周病にならないためには

1日1回フロスや歯間ブラシを使いましょう

日々の歯磨きは当然大切ですが、歯ブラシだけでは60%程度の汚れしか除去できないと言われています。
日々の歯磨きに、フロスや歯間ブラシを使用することで、さらに汚れを落とす事ができるので、最低でも1日1回はフロスや歯間ブラシを使用して、歯周病を予防しましょう。

歯医者さんで定期的なメンテナンスを

ご自宅での歯磨きだけではどうしても落としきれない汚れがあります。その汚れは、目には見えないところで増殖し、気付いたら歯周病になっていたということは非常に多い症例です。
定期的に専門医に診てもらう事で、お口の中を清潔に保ち、様々な病気から大切な身体を守りましょう。

口腔ケアでウイルス感染予防に効果

お口の中を綺麗に保つ事で、実際に効果のあったデータを紹介します。

インフルエンザの学級閉鎖が約半分に!

東京都杉並区のある2つの小学校に洗面台を増設し、歯磨き習慣の推進活動をしたところ、他の活動をしていない小学校41校よりもインフルエンザによる学級閉鎖が半減しました。

高齢者のインフルエンザ発症率が約1/10に!

歯科衛生士が介護施設の高齢者の口腔ケアを週1回行ったグループと、行わなかったグループを半年後調査した結果、インフルエンザ発症率が明らかに低くなっていることが判明しました。

鼻呼吸でウイルス感染を予防

鼻呼吸のメリット〜その1「フィルター作用」

鼻毛が大気中のホコリなどを絡め取り、一緒についているウイルスを鼻の粘膜から出る分泌液によって排出します。

鼻呼吸のメリット〜その2「加温・加湿作用」

空気が鼻から通ると加温・加湿され、ウイルスによっては生存力が弱くなります。
口呼吸だとこれからの効果がないため、喉に直接ウイルスが侵入することになるので、意識して鼻呼吸をしましょう。

ウイルスをできるだけ減らして、肺に空気を入れることが大切です。
また、鼻呼吸をしっかりするために「あいうべ体操」が非常に有効です!

あいうべ体操とは

口呼吸を鼻呼吸に改善する体操です。
はじめは疲れたり、筋肉痛が出たりしますが、継続が大切なので回数を少なくしたり、無理をせずに正確に口を動かすことが大切です。
1日30セットを目安に毎日続けましょう。慣れたら徐々に回数を増やして行うと良いでしょう。

❶「あ〜」と口を大きく開く

❷「い〜」と口を大きく横に広げる

❸「い〜」と口を強く前に突き出す

❹「べ〜」と舌を突き出して下に伸ばす

まとめ

歯周病菌には、歯を病気にするだけでなく、ノドの粘膜を守るタンパク質を破壊する力がある事がわかっています。
ウイルスの感染リスクを軽減するためにも、まず、「口腔ケア」歯磨きやフロス・歯間ブラシ、「鼻呼吸」を日々気をつけることと、やはり「歯の定期的な検診やメンテナンス」を行うことが最善の方法です。
定期的に病院へ通うことで、歯周病だけでなく、歯並びや虫歯など他のリスクを早期に発見できることもあります。

是非、ご自身のお身体全身の健康を考えた時に、身体へ入口の「口・歯」の健康管理もしっかり行いましょう。

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