虫歯でもないのに、アイスなどの冷たい食べ物を食べた時にキーンとしみた経験はありませんか?
その痛みの正体は「知覚過敏」かもしれません。知覚過敏については、過去に2回ご紹介してきました。
今回は、最近当院で導入した知覚過敏用の歯に塗るペースト「クリンプロ™ホワイトバーニッシュF」をご紹介します。まず、初めに簡単に知覚過敏についておさらいします。
目次
知覚過敏とは
歯周病や強いブラッシング、歯ぎしりなどの原因により歯ぐき(歯肉)が退縮したり、エナメル質が消失したりすると象牙質が露出します。象牙質表面には象牙細管という細い管が開いており、この奥にある神経へ刺激が伝わり、しみる、痛いなどの症状が現れます。冷たい飲食物や歯ブラシで触った時などに症状が出ることがあります。正式名称は「象牙質知覚過敏症」といいます。
知覚過敏は、剥き出しになっている象牙質から刺激が象牙細管を通って神経に伝わる事で起こります。 通常の痛みは10秒程度のものです。 それよりも長く痛みが続いたり、短時間でも非常に激しい痛みを感じたりする場合は、知覚過敏が重症化した状態であると考えることができます。
知覚過敏の症状を抑えるためにはどうしたらよいのでしょうか?【セルフケア】と【プロフェッショナルケア】に分けてご紹介します。
知覚過敏の症状を緩和させる方法
【セルフケア】
◆刺激になる冷水やお湯の使用は避ける
知覚過敏の症状が軽いうちは、冷たいものがしみますが、症状が重くなると熱いものもしみやすくなります。
◆ブラッシングする時に力を入れすぎない
ブラッシング圧が強すぎることも知覚過敏の原因になります。ハブラシの毛先が開かない程度の軽い力(適正なブラッシング圧は150~200gくらい)で磨きましょう。
◆知覚過敏ケア用の歯磨き粉を使う
知覚過敏専用の歯磨き粉を使用する場合は、薬用成分である「硝酸カリウム」や「乳酸アルミニウム」が入った歯磨き粉の使用をおすすめします。また、これらの成分は効果が永遠と持続するものではないので、継続的に使用することが大切です。
↑こちらの記事では、知覚過敏ケア用のおすすめの歯磨き粉をいくつか紹介しています。よろしければチェックしてみてください。
【プロフェッショナルケア(歯科医院)】
◉露出した象牙細管をレジンやセメントでフタをする
象牙質が露出してしまったことが原因で知覚過敏を起こしている場合でも特に歯の根元がくさび状にかけてしまっている場合「くさび状欠損(WSD)」には、歯科用のプラスチック:コンポジットレジンを詰めて象牙質を覆い、刺激が伝わらない様にします。また、欠けた部分に汚れが溜まらない様に改善し、虫歯や歯周病のリスクも軽減させます。
◉ナイトガード(マウスピース)を使用する
「歯ぎしり」や「食いしばり」=(ブラキシズム)が原因で知覚過敏を起こしている場合、薄く柔らかい透明の素材でできた「マウスピース」を使用して「歯ぎしり」や「食いしばり」から歯を守ります。
◉知覚過敏の症状を抑える薬剤を使用する
当院で新しく採用!「クリンプロ™ホワイトバーニッシュF」
「クリンプロ™ホワイトバーニッシュF」は、フッ化物配合のコーティング材で、フッ化ナトリウム、リン酸三カルシウムを含む知覚過敏抑制材です。チェリー・メロン・ミントの3種類のフレーバーからお好みに合わせてお選びいただくことが可能です。今まで仕方なく神経を取らないと痛みを取り除けなかった重度の知覚過敏症の方でも、塗るだけで簡単に知覚過敏の症状の改善が期待できます。
特徴①象牙細管を封鎖できる
滞留性のあるフッ化ナトリウムを含むコーティングにより象牙細管を封鎖し、知覚過敏を抑制します。右側の写真のように、塗布した後に薬剤を取り除いた後も象牙細管は封鎖されています。痛みの伝わる象牙細管を封鎖することで、神経に刺激が伝わることを防ぎます。
特徴②耐酸性が向上
虫歯予防効果のあるフッ化物を最大24時間継続的に放出します。
フッ化ナトリウム、カルシウムを含むコーティングにより耐酸性が向上し、知覚過敏を抑制します。
特徴③知覚過敏抑制・虫歯予防にもマルチに大活躍
「クリンプロ™ホワイトバーニッシュF」は一般的な歯磨剤のフッ素濃度がおよそ1000ppmに対し、22600ppmの高濃度フッ素を配合しています。フッ素は虫歯予防効果があるため、知覚過敏だけではなく露出した歯の根っこ、初期虫歯や酸蝕(歯が溶ける)傾向のある虫歯リスクの高い部分、叢生(でこぼこの歯並び)など、幅広い症例に使用することができます。
まとめ
知覚過敏は、セルフケアでも症状を緩和させることができます。刺激になる冷水やお湯の使用は避けたり、強すぎるブラッシング圧に心当たりがある場合は注意しましょう。
歯科医院によるプロフェッショナルケアでは、「クリンプロ™ホワイトバーニッシュF」がオススメです。知覚過敏を起こしている原因によっては、マウスピースの使用が必要な場合もあります。患者さまのお口の状態に合わせてご提案させていただきますので、なかなか治らない知覚過敏でお悩みの方は、お気軽にご来院ください。
記事監修 Dr.鳥居 健二
田治米歯科クリニック 八尾医院
院長 鳥居 健二